答えは、日当を抑えて浮いた利益を全部自分のものにせず、その一部を「給料以外の形」で打ち子に返すことです。同じ金額でも、給料で渡すのと物やサプライズで渡すのとでは、相手の印象がまるで違うんですよ。

この記事の要約

  • 組織化で利益を出すには人件費を抑えることが重要。ただし日当が低いだけだと人は続かない
  • 日当を抑えて浮いた分を、全部自分の取り分にせず打ち子と組織のために使う
  • 給料に上乗せするのではなく、物・体験・サプライズで返すと相手の記憶に残る
  • 同じ金額でも渡す場面で価値が変わる。夜の食事代より昼メシ代の方がインパクトが大きい
  • 目的は「この人は違う」と思われること。お金じゃなくて人で付いてきてもらう状態を作る

日当を抑えるだけでは組織は続かない

打ち子を雇って組織化していく上で、人件費を抑えるのは重要なポイントです。日当を抑えれば抑えるほど、組織の利益は出やすくなる。だから僕は、最初の日当は低めのスタートを推奨しています。最初は低い方がいいんです。

でもここで必ず出てくるのが、「そんなに低いと誰もやらない」「すぐ辞めてしまう」という話です。その通りなんですよ。日当を抑えるだけの組織は続かない。そこで重要になってくるのが、今回のテーマの「お金の使い方にうまくなる」ということです。

考え方はシンプルです。日当の高い組織と低い組織では、年間で見ると大きな利益差がつきます。その浮いた利益をまるまる自分のものにするんじゃなくて、一部を打ち子さんのために使うんです。ただし、給料という形では渡さない。ここがポイントです。

給料ではなく「物」と「体験」で返す

僕が実際にやってきたのはこういうことです。移動に不便している打ち子さんには原付を買ってあげる。データ取りに使っていたiPadが壊れたと言われたら、iPadを買ってあげる。おしゃれをしたことがない子には、スタイリストの知り合いに頼んでフルコーディネートで服を買ってあげたこともあります。

甘やかしているように見えるかもしれないですけど、違うんですよ。自分でお金を貯めて原付を買うのと、組織から支給されるのとでは、全然訳が違う。お金じゃなくて物で与えると、相手の印象に残るんです。給料に同じ額を上乗せしても、数ヶ月後には「もらって当たり前」になって消えます。物と体験は記憶に残り続けるんですよね。

昼メシの方が夜メシよりインパクトがある

もっと具体的なノウハウを言うと、お金は渡す場面で価値が変わります。

稼働終わりに打ち子さんと夜ご飯に行く、「これで好きなもの食ってきて」とお金を渡す。これはよくある話です。夜は焼肉やお酒でそれなりにお金を使うイメージがあるから、多少大きい額を渡しても「妥当だな」で終わるんですよ。

だから、あえて昼に渡すんです。ランチなんて安いじゃないですか。そこで夜以上の額をポンと渡して、お釣りはどうするんですかと聞かれたら「いらない」と言う。相手は「この人どれだけ羽振りがいいんだ」となるわけです。夜に同じ額を渡すより、昼に渡す方が圧倒的に記憶に残る。ほとんどの人は昼メシで大きい額をもらった経験がないからです。

毎回やったらお金がなくなりますよ。そうじゃなくて、無難な夜ご飯を3回おごるくらいなら、1回のインパクトに寄せた方が絶対でかいという話です。特に採用して最初の段階でやるのが効きます。

渡し方相手の受け取り方
給料に上乗せ数ヶ月で「当たり前」になり感謝が消える
夜の食事代妥当な経費として流れる
昼メシに大きい額+お釣りいらない「この人は違う」と記憶に残る
原付・iPad・服などの現物使うたびに思い出す。印象に残り続ける

目指すのは「お金じゃない」状態

家族が入院して早く帰らないといけない打ち子さんがいたら、「お花でも買ってあげなよ」とお金を渡す。誕生日をこっそり覚えておいて、組織のみんなでサプライズパーティーをやる。利益が積み上がってきたら温泉旅行やバーベキューをやる。

一見すると臭い演出ですよ。慣れ合いとか仲間ごっこに見えるかもしれない。でも実際に自分が祝ってもらう側になると、満更でもないし嬉しいんですよ。それは誰でもそうなんです。

僕が言いたいのは、バカみたいにお金を使えということじゃないです。日当を抑えると利益が出る。その利益を全部自分のものにするんじゃなくて、楽しい環境作りと打ち子さんの成長のために使う。そうすると「この組織にいるとメリットがある」「この人と一緒にやりたい」と思ってもらえて、日当の額じゃないところで付いてきてくれるようになる。要は「お金じゃない」という状態になるんです。当然お金は使っているんですけどね。そういう経験はなかなかできないからこそ、効くんですよ。

これは打ち子の組織に限らず、人を雇って何かをやるすべての場面で同じだと僕は思いますね。給料の額面で競ったら、資本の大きいところに絶対勝てない。でも記憶に残るお金の使い方は、工夫でいくらでも差がつけられるんです。

記事内Q&A

Q. 日当を安くしたら、いい人が来ないんじゃないですか?
A. 日当の安さを、他のメリットで埋めるんです。物の支給、サプライズ、居心地のいい環境。額面の安さだけの組織なら人は来ませんし続きません。「ここにいると得だ」と感じる理由を給料以外で作るのがリーダーの仕事ですね。

Q. なぜ給料を上げるより物をあげる方がいいんですか?
A. 給料は数ヶ月で「当たり前」になって感謝が消えるからです。原付やiPadみたいな現物は、使うたびに思い出してもらえる。同じ支出でも、記憶に残る形で渡した方が組織への効果が長持ちするんですよ。

Q. 慣れ合いになって規律が緩みませんか?
A. 順番が逆です。日当は抑えて規律の線は引いた上で、浮いた利益を環境と成長に回す。締めるところは締めて、返すところで印象に残す。このメリハリがあるから、甘やかしではなく組織運営になるんです。