僕の人生で二番目に心残りな話をします。中学の野球の話です。これ、今でもたまに夢で見るんですよ。1年に何回か見て、だいたい泣きながら目が覚めます。
野球がしたかったのに、野球ができなかった
僕は小学校から野球をやってて、中学でも野球部に入りました。入ったのは地元の、そこら辺にあるような普通の中学校です。
そこで何が起きてたかというと、顧問の先生が野球をやったことのない素人だったんですよ。専門的な知識がない人が教えてる。少年野球をやってきた部員からすると「なんで素人に教えられなきゃいけないんだ」となるし、先生は先生でわけの分からない指導をしてくるから「なんでお前ら言うことを聞かないんだ」となる。部活が野球に集中する場じゃなくて、顧問と対立する場になってたんです。みんな野球をしに来たのに、意味が分からないですよね。
僕はどっちかというと反発するグループ側、レジスタンス的な立場でやってました。大会でも結果は出ず、初戦敗退ばっかりです。
中3で気づいて、チームをまとめにいった
中学3年になったとき、気づいたんですよ。中体連の夏の大会で、野球が終わっちゃうって。
さすがにこのままじゃまずいと思って、「もうそんなことしてる場合じゃない、みんなでやろう」って自分から声をかけ始めました。自主練しようぜ、朝も集まろうぜって。そしたらみんなもやる気を出してきて、それまで顧問への不満とキャプテンへの不満でバラバラだった部が、まとまってきたんです。盛り上がってきたんですよ、本当に。
でも、ここからが意味の分からないところで。盛り上がって試合がしたくてしょうがないのに、先生が試合を組んでくれないんです。4月から7月までの間に、試合は3試合ぐらいしかなかった。生徒は超やる気があるのに、先生にやる気がない。今なら分かるんですけど、顧問は中3のクラス担任で、受験を控えた自分のクラスのことでいっぱいいっぱいで、野球はどうでもよかったんですよね。
土日に勝手に集まって練習してたら、怒られましたからね。「休みにしてるのになんで練習してるんだ」って。野球部が野球の練習をして怒られる。それぐらいおかしな環境でした。中学生の僕らに、他校へ電話して試合を組むなんてマインドはさすがにない。やりたいことを思いっきりやれないまま、時間だけが過ぎていきました。
5回裏、泣きながら守っていた
そのまま夏の大会が来ました。うちのピッチャーは富士市内でナンバーワンぐらいの優秀なやつで、球は速いしカーブも投げられる。最後の大会も相手をずっと抑えてくれて、0対0のまま試合が進みました。
でも、打てないんですよ。練習試合をやってきてないから、生きた球を打った経験が足りない。相手だって強くないのに、打てない。そして終盤、バントみたいな濃い取られ方で1点を取られて、負けました。
僕は最後まで試合に出てました。軟式だから9回まではなくて、5回裏ぐらいでもう「やばい、負ける」って分かったんです。そのときにはもう泣いてました。なんでこんな終わり方なんだ、4月からあんなに頑張ったのに、思いっきりやれないまま俺たちの夏は終わるのかって。泣きながら守ってた記憶が、今でもはっきりあります。だから夢に見るんですよ、いまだに。
興味を持ったら、全力で応援する
なんで今この話をしたかというと、「一流の育て方」という子育ての本を読んで、この記憶とつながったからです。
子供が興味を持ったものは、親が応援団になって全力でサポートするのがめちゃくちゃ大事らしいんですね。動物図鑑を毎日見てる子がいたら、別の図鑑を買ってあげて、動物園に連れて行って本物を見せてあげる。そうやって伸びた興味が才能になって、仕事につながっていく。
僕はあのとき、ものすごくやる気が出てた。あそこで環境が良かったら、別の生き方もあったのかなとは思います。そもそも今考えれば、素人に野球を教わる可能性が高いあの中学に入った時点で間違いだったんですよ。子供は環境を選べないから、そこは親の仕事です。うちの親がこれを見てたらあれですけど、ぶっちゃけそうなんです。
ただ、それを失敗と捉えるか経験と捉えるかは、今の自分次第なんですよね。僕はこの心残りがあるからこそ、今は興味を持ったことを全部やるようになったし、環境の大切さを人一倍考えるようになった。物は捉え方です。悔しさは、次の燃料にすれば残す価値があります。
記事内Q&A
Q. 頑張っても環境が悪ければ無駄ということですか?
A. 無駄じゃないですけど、環境の壁は根性じゃ越えられないことがあるのは事実です。僕らは団結してやる気を出しても、試合を組んでもらえなかった。だからこそ、やる気が出たときに応援してくれる環境を選ぶこと、選べない子供には親が用意してあげることが大事なんですよ。
Q. 子供が何かに興味を持ったら、何をすればいいですか?
A. 応援団になって全力でサポートしてください。図鑑が好きなら別の図鑑を買う、動物園に連れて行く。興味に燃料を足すイメージです。僕はやる気が最高潮のときに環境に恵まれなかったのが人生二番目の心残りなので、これは本当にそう思います。
Q. 過去の心残りとはどう付き合えばいいですか?
A. 消そうとしなくていいと思います。僕はいまだに夢に見て泣きますけど、あの悔しさがあるから今頑張れてる部分が確実にあるんで。失敗と捉えるか、経験につなげるか。捉え方を選ぶ権利は今の自分にあります。